前述した『英語達人列伝』で、英語の達人たちを見てきた。
これを現代の我々の英語学習に応用する事は出来ないだろうか。この問題に取り組んだのが本書『英語達人塾』である。
ここでもまえがきを引用する。
「これは英語独習法の解説書であり、その実践の場としての『自習塾』である。最終目標とする英語の習得段階は、日本人の最高レベルに設定してある。」
ここまで目標の高い英語学習本は他に無いだろう。巷に溢れるお手軽なハウツー本が消し飛ぶ勢いだ。
では、どんな学習をして「日本人の最高レベル」を目指すのだろうか。目次を見てみよう。入塾心得の後には、
おい、英会話がねえぞ。
ご安心を。その後の「視聴覚教材活用法」「その他の学習法」にちゃんと書いてあります。しかし、著者はここでも警鐘を鳴らす。
「文法無視でただペラペラとしゃべりまくる癖がついてしまうと、多くの場合、そこで英語学習が頭打ちになる」(まえがき)。
オンライン英会話は手軽かつ安価(ここ大事)に英会話の場を提供してくれる素晴らしいサービスだが、利用する時は常に右の言葉を忘れないでおきたい。
さて、本書の紹介は以上である。後は各自で購入して英語学習の指針として欲しい。と言ってみんな買ってくれたらマーケティングは要らない。かと言ってここで本書の要約を書いても劣化版が出来上がるだけなので書かない。
その代わりに、本書評の読者が気になりそうな質問に答えていこう。
問…目次にある素読って何ですか。
答…素読の章の本文より引用すると、「意味や内容をあまり考えずに同じ文章を何度も音読すること」です。「ただ英語の響きを楽し」み、「英語の『ノリ』を体で覚えてしま」うのが目的です。
問…文法って高校でやったのでいいの?
答…東大に受かっているなら最低限は大丈夫でしょう。とは言え、文法用語には不安があるかも知れません。「Forは等位接続詞」と言われて「は?」と思った人は、この間まで使っていた英文法書 を通読すると良いでしょう。
問…英語力は語彙力!どの単語帳をやれば良い?
答…本書では単語帳に関する言及がありません。明治時代にそんな物は無かったからでしょう。その代わりに本書では、分からない単語を辞書で調べてノートに写すという方法が紹介されています。このやり方は、既に生の文章を読むのに殆ど困らない人には良いでしょうが、現在の高校修了レベルでは少し厳しい気がします。受験レベルを超えた単語帳はとても少なく質もイマイチなので、鉄緑会の『鉄壁』をやり直すのが最適解かも知れません。
問…とは言ってもさあ。リスニングとかスピーキングも大事じゃね?
答…大事です。ただ、継続してトレーニングし続けないと急速に出来なくなるのがこの二つです。対して読み書き(リーディングとライティング)はこの衰えが緩やかです。ですから、大部分は読み書きに精進し、聴いたり話したりはオンライン英会話の月八回コース程度に留めておくのが良いんじゃないですかねえ。本書の作文の章には「学習段階が進むにつれ、しだいに聴解力は読解力に、会話力は作文力に近づいてくる」とあります。
最後に一点。「英語帝国主義」という言葉を覚えておきましょう。詳しくは本書のあとがきにて。
(なるほ)
出版社のサイトに飛びます:https://www.chuko.co.jp/shinsho/2003/06/101701.html
これを現代の我々の英語学習に応用する事は出来ないだろうか。この問題に取り組んだのが本書『英語達人塾』である。
ここでもまえがきを引用する。
「これは英語独習法の解説書であり、その実践の場としての『自習塾』である。最終目標とする英語の習得段階は、日本人の最高レベルに設定してある。」
ここまで目標の高い英語学習本は他に無いだろう。巷に溢れるお手軽なハウツー本が消し飛ぶ勢いだ。
では、どんな学習をして「日本人の最高レベル」を目指すのだろうか。目次を見てみよう。入塾心得の後には、
- 音読
- 素読
- 文法解析
- 辞書活用法
- 暗唱
- 多読
- 丸暗記
- 作文 と続く。
おい、英会話がねえぞ。
ご安心を。その後の「視聴覚教材活用法」「その他の学習法」にちゃんと書いてあります。しかし、著者はここでも警鐘を鳴らす。
「文法無視でただペラペラとしゃべりまくる癖がついてしまうと、多くの場合、そこで英語学習が頭打ちになる」(まえがき)。
オンライン英会話は手軽かつ安価(ここ大事)に英会話の場を提供してくれる素晴らしいサービスだが、利用する時は常に右の言葉を忘れないでおきたい。
さて、本書の紹介は以上である。後は各自で購入して英語学習の指針として欲しい。と言ってみんな買ってくれたらマーケティングは要らない。かと言ってここで本書の要約を書いても劣化版が出来上がるだけなので書かない。
その代わりに、本書評の読者が気になりそうな質問に答えていこう。
問…目次にある素読って何ですか。
答…素読の章の本文より引用すると、「意味や内容をあまり考えずに同じ文章を何度も音読すること」です。「ただ英語の響きを楽し」み、「英語の『ノリ』を体で覚えてしま」うのが目的です。
問…文法って高校でやったのでいいの?
答…東大に受かっているなら最低限は大丈夫でしょう。とは言え、文法用語には不安があるかも知れません。「Forは等位接続詞」と言われて「は?」と思った人は、この間まで使っていた英文法書 を通読すると良いでしょう。
問…英語力は語彙力!どの単語帳をやれば良い?
答…本書では単語帳に関する言及がありません。明治時代にそんな物は無かったからでしょう。その代わりに本書では、分からない単語を辞書で調べてノートに写すという方法が紹介されています。このやり方は、既に生の文章を読むのに殆ど困らない人には良いでしょうが、現在の高校修了レベルでは少し厳しい気がします。受験レベルを超えた単語帳はとても少なく質もイマイチなので、鉄緑会の『鉄壁』をやり直すのが最適解かも知れません。
問…とは言ってもさあ。リスニングとかスピーキングも大事じゃね?
答…大事です。ただ、継続してトレーニングし続けないと急速に出来なくなるのがこの二つです。対して読み書き(リーディングとライティング)はこの衰えが緩やかです。ですから、大部分は読み書きに精進し、聴いたり話したりはオンライン英会話の月八回コース程度に留めておくのが良いんじゃないですかねえ。本書の作文の章には「学習段階が進むにつれ、しだいに聴解力は読解力に、会話力は作文力に近づいてくる」とあります。
最後に一点。「英語帝国主義」という言葉を覚えておきましょう。詳しくは本書のあとがきにて。
(なるほ)
出版社のサイトに飛びます:https://www.chuko.co.jp/shinsho/2003/06/101701.html
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